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「慰安婦」問題に焦点を当て、戦時性暴力の被害と加害の資料を集めた「女たちの戦争と平和資料館」(wam)のブログです。
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「今はじめて語られる歴史-カンボジア内戦下の性暴力」
1月11日、今年初めてのセミナーを姉妹団体であるアジア女性資料センター(AJWRC)と共催でwamオープンスペースにて行いました。
http://www.wam-peace.org/main/modules/news/article.php?storyid=29

このセミナーは不定期で開催している「闘う世界の女性たち~現代の紛争下の女性に対する暴力」の第2回目として開かれました。現在も世界各地で続く、女性に対する暴力と女性たちの闘いについてお話を聞くセミナーで、第1回目はグアテマラについて取り上げました。(詳しくはこちら http://www.wam-peace.org/main/modules/news/article.php?storyid=3

年明け早々のセミナーだったため、どのぐらいの方が参加してくださるのか心配していましたが、50人を超える参加がありました!小さなwamは満員状態で椅子の数が足りない!と焦る場面も。

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この日の講師は、カンボジア在住の中川香須美さん(カンボジア弁護士の会,アジア女性資料センター会員)。中川さんは、クメール・ルージュ時代におこった女性に対する性暴力の実態を調査し、貴重な報告書にまとめました。セミナーではこの調査報告を中心にお話をしていただきました。

まず、ドキュメンタリー・ビデオ「タン・キム-ポルポト政権下の性暴力を生きぬいて」を上映。この作品はクメール・ルージュ時代にポル・ポト兵士による性暴力被害を受けたタン・キムさんの証言を追ったものです。タン・キムさんは「レイプの被害者はみな殺害された」と言われているカンボジア社会において、初めて実名と顔を公表し被害を告発した勇気ある女性です。作品では彼女が仏門に入ったことが伝えられていますが、この真の意味は中川さんのお話から明らかに・・・

ビデオの後は、スライドを駆使してカンボジアの歴史や文化、政治状況など背景知識を簡潔に分かりやすく説明していただきました。
次に、調査にいたる背景や手法、調査を通じて見えてきた問題点、困難であったこと、調査から得られた知見について説明されました。

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カンボジアの社会は、性暴力について語ることがタブー視されており、被害女性に問題があったと解釈され、告発は家名を傷つける行為、恥さらしと差別される風潮が厳然と残っています。このような社会状況が被害女性たちを沈黙させている中、証言者は果たして現れるのだろうか?
レイプ被害者はほとんどが殺害されているため、証言者はでてこないのでは?と懸念する声が周囲からは聞こえてきましたが、中川さんは粘り強く調査をされ、これまでまったく記録されてこなかったクメール・ルージュ時代の性犯罪について、その事実を明らかにしました。

この調査の前に被害を証言し、被害者は生存している、証言をする被害者はいるということを証明したのは、前述のビデオ作品に登場したタン・キムさんでした。しかし、証言をしたために家族やコミュニティから見放され、出家をせざるを得ない状況に追い込まれたそうです。この出家の理由はとても衝撃的でした。

ポル・ポト政権の最高責任者・上級指導者の犯罪を裁くクメール・ルージュ裁判が2006年7月から開始されました。この法廷は国連の技術的・資金的協力を受け、カンボジア国内法廷に設置された特別法廷です。現在行われているこの法廷ですが、カンボジアの司法制度の未整備や、国内の検事や弁護士のプライドの高さゆえ、外国人弁護士の支援受け入れに非積極的であるなど、問題は山積み。そして女性に対する個々の性暴力については訴追される可能性が低いことなどが伝えられました。

希望をもちづらい状況ではありますが、これまで語られなかった事実が明らかになったことは大きな前進です。今後も裁判の行方を見守り、女性たちと連帯していきたいという思いを強くしました。

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