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「慰安婦」問題に焦点を当て、戦時性暴力の被害と加害の資料を集めた「女たちの戦争と平和資料館」(wam)のブログです。
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秦郁彦の恣意的引用
吉田清治を「詐話師」と呼ぶ秦郁彦。
歴史修正主義者のバイブルのようになっている『慰安婦と戦場の性』(新潮選書、1999年)には、「第7章 吉田清治の詐話」と題して、20ページほどが割かれている。
秦郁彦が書いたものの「検証」はしっかりなされるべきだと思うが、引用元を参照してたら、「なんだよこれ」ってものが出てきたので、紹介したい。

秦郁彦

以下は、秦郁彦『慰安婦と戦場の性』(P242-243)からの引用。

西野留美子のように「双方にとらわれないで、できるだけ客観的な聞き取りをしたい」と下関まで出かけて吉田と面識のある元警察官と会い、済州島の慰安婦狩りについて「いやあ、ないね。聞いたことはないですよ」との証言を引き出した人もいる。


さて、引用元である西野留美子『日本軍「慰安婦」を追って』(梨の木舎、1995年)P83を見てみると:

「いやあ、ないね。聞いたことはないですよ。しかし管轄が違うから何とも言えませんがね。」



これって、アカデミックな研究者がやる引用なんだろうか・・・・・・。
「管轄が違うから何とも言えない」って、知り得る立場にいなかったことをはっきりと「証言」しているわけでしょう?
「しかし管轄が違うから何とも言えませんがね」という箇所は、秦にとって「都合が悪い」ために意図的に削除したと考えるのが自然であろう。このように証言を恣意的に引用して「証拠」として使うことは、彼らの言葉で言う「歴史の捏造」ではないか? いやはや、こんな人に、「被害証言は証拠にならない」なんて言う資格があるのかと、あきれてしまう。

まっとうな歴史研究者は、だれも秦郁彦の研究なんか見向きもしないとよく聞くけれど、見下して見向きもしなかったこと自体が、今の歴史修正主義を跋扈させることにつながったような気がしてならない。
そういう意味では、高橋源一郎、江川詔子といったリベラルと思ってきた人たちにも影響を与えている、大沼保昭、朴裕河、熊谷奈緒子らが書いたものを、一般の人にもわかるようにきっちりと批判することは、歴史研究者というよりは、日本で活動してきた市民団体・支援者の役割だとは思います。(敬称略)
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