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「慰安婦」問題に焦点を当て、戦時性暴力の被害と加害の資料を集めた「女たちの戦争と平和資料館」(wam)のブログです。
日韓「合意」は、国際社会からぜんぜん高く評価されていない!
5月11日、韓国の文在寅大統領と日本の安倍首相が電話協議を行ったというニュースが流れているが、この「電話協議」の報道内容も受け止めも、日韓のメディアでずいぶん違うらしい。日本のメディアに限っていえば、とりわけ気になるのが、「国際社会からも高く評価された日韓合意」と安倍が語ったのを、そのまま垂れ流していることだ。

日韓「合意」は、国際社会からぜんぜん「高く評価」されていない。

「国際社会」とは? 誰が「国際社会」を代表するのか? という疑問は当然湧くだろう。
日韓「合意」を待ってましたとばかり「歓迎」したのは、オバマ政権下のケリー国務長官だった。
米国の安保政策のために影で操っているのだから、それは当然だろう。
それ以外には、潘基文前国連事務総長が歓迎したが、大きな批判を受けて「人権基準にのっとるように」と主張を変えた。

批判したのは、フサイン国連人権高等弁務官。人権分野の国連ボスである。そして、真実・正義・被害回復および再発防止に関する特別報告者、拷問及び他の残虐、非人道的又は品位を傷つける取り扱い又は刑罰に関する特別報告者、法律および慣習における女性差別問題ワーキングループを代表して、3人の国連人権分野のエキスパートが批判を国連のプレスに出しているし、もちろん女性差別撤廃委員会も批判した。

さらに今日、国連の拷問禁止委員会が日韓「合意」の見直しを求めたというニュースが流れた。
産経新聞では「・・・合意の見直しを勧告する報告書を発表した。在ジュネーブ日本政府代表部も確認した」とあって、何か「特別な報告書」でも出したのかと思ったが、なんのことはない、韓国の拷問禁止条約の履行状況を拷問禁止委員会が5月2-3日に審査し、その結果として、最終所見(勧告)を5月11日に発表したということだった。韓国政府は、拷問禁止条約を完全に履行するためにも、これらの勧告に真摯に応える義務がある。

それにしても、なんというグッドタイミング・・・。「国際社会はぜんぜん高く評価していない」ことが、あらためて示された形だ。
韓国政府は、日韓「合意」の見直しを求めたって、反故にしたって、「国際社会」から非難を浴びることはないはずだ。だって国連の人権のエキスパートが、すでにこのままではダメだ、日韓「合意」では日本軍の性奴隷にされた女性たちの被害回復はなされないって、こんなに言っているんだから。

日本政府も、韓国政府と同様、これまでの国連勧告に真摯に応える義務がある。「法的拘束力はない」とはきすてる日本政府の態度は、人権理事国にあるまじき・・・というか、日本が人権後進国であることを世界に示しているようなものだ。「アメリカ様」は「国際社会」ではない。

すべての被害者/サバイバーが受け入れられるように、日本政府みずからが韓国政府と再協議を提案することこそが求められているし、すべての被害国と協議を始めることが必要である。海南島の陳亜扁さんも、5月11日に亡くなった。アジア太平洋各地で、すでに80代後半から90代になった日本軍性奴隷制の被害を受けた女性たちが、日本が歴史に向き合うことを求めている。

全文は計13ページ。12ページ目の一部に該当箇所がある。
以下は、日本軍性奴隷制に関する部分のとりあえずの訳出。
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Redress for victims of torture and ill-treatment
拷問および虐待の被害者の救済

47. The Committee is concerned:
(a) While welcoming the Agreement reached at the Republic of Korea-Japan Foreign Ministers’ Meeting on December 28, 2015, and taking note that there are still 38 surviving victims of sexual slavery during World War II, that the Agreement does not fully comply with the scope and content of its general comment No. 3 (2012) on the implementation of article 14 of the Convention, and fails to provide redress and reparation, including compensation and the means for as full rehabilitation as possible as well as the right to truth and assurances of non-repetition;
47. 委員会は以下のことを懸念する:
(a) 2015年12月28日の大韓民国と日本の外相による会合で到達した合意を歓迎するものの、第二次大戦中に性奴隷にされた存命の被害者がいまだ38名いること、この合意は当条約の14条の実施に関する一般勧告3号(2012年)の範囲と内容に完全に適合しておらず、また、賠償および可能な限りの完全なリハビリテーション、真実への権利と再発防止の確保のための措置を含む、救済と被害回復の提供ができていないことに留意し;

48. The State party should:
(d) Revise the Agreement of 28 December 2015 between the Republic of Korea and Japan in order to ensure that the surviving victims of sexual slavery during World War II are provided with redress, including the right to compensation and rehabilitation and the right to truth, reparation and assurances of non-repetitions, in keeping with article 14 of the Convention; and
48. 締約国は以下をすべきである:
(d)第二次大戦中に性奴隷にされた存命の被害者が、賠償とリハビリテーションの権利、および真実、被害回復、再発防止の確保への権利を含む救済を提供されるよう、大韓民国と日本の間の2015年12月28日の合意を見直すこと。

(*よりスムーズで適切な訳があったらお知らせください)
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