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「慰安婦」問題に焦点を当て、戦時性暴力の被害と加害の資料を集めた「女たちの戦争と平和資料館」(wam)のブログです。
wam今週の新着図書
お久しぶりです。
wamライブラリーからの更新をおこたってしまい、すみません。

1冊だけですが書籍の紹介をしたいと思います。


日本軍「慰安婦」被害者 少女の物語



『日本軍「慰安婦」被害者:少女の物語』
 金濬起(キム・ジュンギ)/作 韓国挺身隊問題対策協議会/訳
日本機関紙出版センター 2014.8


チョン・ソウンさんのインタビューをもとにつくられた3Dアニメーションが、絵本になりました。チョン・ソウンさんは投獄されたお父さんの身代わりに、日本で仕事をするようにと騙され、インドネシアのスマランの慰安所へ連れて行かれました。チョン・ソウンさんの慰安所での生活、その後の体験が綴られています。
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朝日新聞「慰安婦」報道の検証をめぐる一連の報道に抗議し訴えます
wamでは、8月5日・6日の朝日新聞による日本軍「慰安婦」問題についての特集と、それをめぐるメディアの一連の報道や政治家の発言などについて、要請文を作成しました。内閣総理大臣、関連する発言をした公人、メディア各社に本日送付します。

要請文の内容は以下の通りです。みなさま、様ざまな方法でこの要請文を広くご周知ただければ幸いです。

PDFはこちらでダウンロードできます。




要請文
朝日新聞「慰安婦」報道の検証をめぐる一連の報道に抗議し訴えます


 朝日新聞は8月5日・6日の朝刊で、これまでの「慰安婦」報道の検証結果を発表しました。一部のメディアやネット上に、「『慰安婦』問題は朝日新聞の誤報・捏造によって作られたもの」という中傷や批判があることへの反論です。

 特集記事では、故吉田清治氏による強制連行の証言は虚偽として記事を取り消し、「慰安婦」と「女子挺身隊」を混同した誤用を認め、取材記者による事実の歪曲を否定しました。「強制連行」に関しては、朝鮮半島や台湾に限れば「軍による強制連行を直接示す公的文書」は見つかっていないが、他の地域には証拠もあること、問題の本質は軍の慰安所で女性たちが自由を奪われ、意に反して「慰安婦」にされたという強制性にあることだとしています。

 これらの内容は、「いまさら…」と嘆息したくなるほど、日本軍「慰安婦」問題を少しでも知る者たちには常識となっていることばかりです。このような検証なら、もっと早くに行ってもよかったのに…と思いましたが、事実確認も検証も全く行わずに暴論と虚報を垂れ流している産経新聞などの一部メディアが跋扈している現状を考えれば、朝日新聞の姿勢と自己批判は真っ当で、意義あるものと言えるでしょう。ただ、朝日新聞が相変わらず「女性のためのアジア平和国民基金」を評価していることには、失望を禁じえません。「国民基金」による負の影響をもっと学ぶべきです。そして、「慰安婦」被害を朝鮮半島に極小化し、問題を矮小化しようとしてきた日本政府の“下心”にも迫ってほしいと願わずにはいられません。


 ところがこのような朝日新聞の検証記事を受けて、一部のメディアや政治家たちが、これを政治利用しようと動き出しました。彼らは朝日新聞の報道が全部間違いであり、「慰安婦」被害という戦争犯罪に当たる歴史的事実までなかったような言い方をしています。朝日新聞の報道が日韓関係を悪化させ、国際緊張を招いたと言わんばかりです。

 自民党の石破茂幹事長は国会での検証まで言い出しました。これはまさに報道の自由への国家介入にあたります。橋下徹大阪市長は「産経が頑張って、朝日が白旗あげた」と大はしゃぎで、「国家をあげて強制連行をやった事実がなかったことがほぼ確定した」などと述べました。彼らは白を黒と言いくるめるつもりなのです。恥ずかしげもなく、何と犯罪的なことをしようとするのでしょう!日本国内では言いたい放題の彼らの滅茶苦茶な暴論は国際社会では全く相手にされず、ただ危険視され蔑まれるだけだということに、まだ気がついていないようです。

 彼らは、10代から20代の頃に慰安所に監禁され、毎日数人から数十人もの日本兵に強かんされ続けた女性たちの残虐な被害と、半世紀を経て勇気を持って名乗り出、日本政府に対して裁判を起こし、謝罪と賠償を求めて立ち上がった彼女たちの存在を一顧だにしないのです。

 被害女性の国籍は10ヶ国以上に上ります。開館から9年が経つアクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)では、1年ごとに各国・各地の被害を伝える特別展を開いてきました。展示の中心は、被害女性たちひとりひとりの被害と人生を伝える個人パネルです。これらの個人パネルを読んでいくと、あまりにも深い傷跡とそれをも乗り越えた女性たちの勇気と決断に心打たれると同時に、戦争が終わってから69年、被害女性が名乗り出てから20年以上も経つというのに、被害者の訴えに耳を傾けないできてしまった日本政府の非情さと犯罪性を痛感せざるをえなくなります。


 私たちは日本政府に訴えます。今、求められているのは「河野談話の作成過程の検証」ではなく、日本軍「慰安婦」制度についての第3次政府調査です。第2次調査以降、慰安所の設置や運営、「慰安婦」の移送などについて、研究者や市民によって膨大な数の公文書や証拠文書が発掘されています。これらの検証と、聞き取り調査が進められてきたアジア各国の被害者の証言と目撃者や元兵士の証言を収集し、「慰安婦」制度の実態について更なる真相究明を行うべきです。高齢となった被害女性への聞き取りは、今が最後の機会になるでしょう。

 この7月にジュネーブで開かれた国連の自由権規約委員会は、「慰安婦」問題(「慰安婦」に対する性奴隷慣行)について日本政府に対し、以下のような所見を出しました。

14. 委員会は、締約国が、慰安所のこれらの女性たちの「募集、移送及び管理」は、軍又は軍のために行動した者たちにより、脅迫や強圧によって総じて本人たちの意に反して行われた事例が数多くあったとしているにもかかわらず、「慰安婦」は戦時中日本軍によって「強制的に連行」されたのではなかったとする締約国の矛盾する立場を懸念する。委員会は、被害者の意思に反して行われたそうした行為はいかなるものであれ、締約国の直接的な法的責任をともなう人権侵害とみなすに十分であると考える。委員会は、公人によるものおよび締約国の曖昧な態度によって助長されたものを含め、元「慰安婦」の社会的評価に対する攻撃によって、彼女たちが再度被害を受けることについても懸念する。委員会はさらに、被害者によって日本の裁判所に提起されたすべての損害賠償請求が棄却され、また、加害者に対する刑事捜査及び訴追を求めるすべての告訴告発が時効を理由に拒絶されたとの情報を考慮に入れる。委員会は、この状況は被害者の人権が今も引き続き侵害されていることを反映するとともに、過去の人権侵害の被害者としての彼女たちに入手可能な効果的な救済が欠如していることを反映していると考える(2 条、7 条、及び8 条)。



 国際社会が問題視しているのは暴力的な連行の有無ではなく、「被害者の意思に反して行われた」行為なのです。上の文章に続く、日本政府への6項目の勧告(「慰安婦」被害の訴えについての捜査と加害者処罰、完全な被害回復、証拠の開示、教育、公的な謝罪表明と国家責任の認知、被害者の侮辱や事件の否定への非難)もたいへん厳しいものです。しかし、日本は規約の締約国として勧告を順守する努力義務があります。アジアの被害国だけでなく、世界中がこの戦争犯罪の実態を知るに至り、一向に問題解決に乗り出そうとしない日本政府、むしろ問題そのものを否定したがっている日本政府に厳しい目を向けています。新しい調査の結果をもとに、これら勧告にしっかりと対応してください。


 そして朝日新聞、産経新聞も含めた全てのメディア関係者に訴えます。各国・各地で「慰安婦」にされた女性たち(多くは故人になってしまいましたが)の証言や被害にあった時の状況を、今からでも遅くはないですから丹念に取材し、それをメディアを通して多くの日本人に伝える努力をしてください。また、自由権規約委員会をはじめとする国際社会の勧告に、日本政府がどう対応するのか、これもしっかり取材して、私たちに伝えてください。


 日本政府も日本人も日本のメディアも、「慰安婦」問題をタブー視して避けて通ろうとしたり、歴史修正主義者たちのでたらめな暴論を許したり、沈黙したりすることが許されなくなってきました。今こそ私たちは、未解決の戦争被害である日本軍「慰安婦」問題に、真正面から真摯に向き合わなければなりません。


2014年8月10日
アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)


産経新聞こそ訂正して謝罪せよ
第12回アジア連帯会議実行委員会は、8月6日付で以下のような訂正要求書を産経新聞社に送付しました。他社のことを批判するだけでなく、産経新聞社こそ、この初歩的な間違いを早急にただし、自ら訂正記事を出していただきたいものです。


産経新聞社 御中
訂正要求書

2014.5.25付「産経新聞」の「歴史戦第2部 慰安婦問題の原点」~「日本だけが悪」周到な演出…平成4年「アジア連帯会議」の記事中の以下の記述につき、事実と異なる部分がありますので、速やかに貴紙紙面で訂正文を掲載された上で、当実行委員会への連絡をお願いします。

1.3面写真に、
「平成4年8月、ソウル市内で開かれた「挺身隊問題アジア連帯会議」で舞台に立つ元慰安婦女性ら(館雅子氏提供)」とのキャプションがつけられていますが、この写真はバックに「問われる戦後補償 韓国遺族会 第一回口頭弁論」という文字が見えています。これは、「韓国太平洋戦争犠牲者遺族会」訴訟の第一回口頭弁論後の報告集会の写真ではないでしょうか。
 確認の上、訂正を求めます。


2.1面記事は、
この会議に参加した舘は会場で迷い、ドアの開いていたある小さな部屋に足を踏み入れてしまった。
 そこでは、韓国の伝統衣装、チマ・チョゴリを着た4~5人の元慰安婦女性が1人ずつ立って、活動家とみられる日本人女性や韓国人女性の言葉を「オウム返し」に繰り返していた。
 「元慰安婦に(シナリオ通りに)言わせるのは大変なのよね」
 日本からの参加者がこう話すのを耳にしていた舘は、あの部屋で見たのは「元慰安婦女性たちの振り付けだ」と確信した。

としていますが、第一回アジア連帯会議(当時の名称は「挺身隊問題アジア連帯会議」)当日、「慰安婦」被害者は全員普段着で参加しており、白いチマ・チョゴリを着て参加した人は一人もいません。必要であれば写真を提示することもできます。
従って、上記についても、内容全体の訂正または取消を求めます。


3.1面記事は、
 日本からは「日本軍『慰安婦』問題行動ネットワーク」……が参加

 としていますが、92年当時、このような名称の団体は存在していませんでした。
 これについても訂正または取消を求めます。


4.1面記事は、
続いて、インドに住むタイ人女性が「日本軍さえたたけばいいのか。インドに来た英国兵はもっと悪いことをしたのに」と泣きながら訴えると、日本語の怒鳴り声が会場に響いた。
 「黙りなさい。余計なことをいうな!」
 舘はこのときの様子を「日本だけが悪いというストーリーを作り上げていた」と述懐する。

 としていますが、
当日、タイ在住のタイ人女性が1名参加していますが、インドに住むタイ人女性が参加した事実はありません。また、引用のような発言もなく、日本語の怒鳴り声が会場に響いた事実もありません。
これについても訂正または取消を求めます。


5.1面記事は、
「私たちは韓国の女性と違って、優しくて従順なので日本の兵隊さんにかわいがってもらい、遠足にも一緒にいきました。だから韓国の強い姿勢とは違う」
 台湾代表がこう主張し、韓国側が要求する個人補償を求めない考えを表明すると、激しいヤジが飛んだ。声を荒らげて怒る人、議長席に詰め寄る人などで会場は騒然となった。

としていますが、台湾の報告者は「台湾『慰安婦』に関する初の報告書」とのタイトルで報告し、その内容は「これらの女性のほとんどが物質的補償を望んでいる。しかし、補償を望んでいるとはいえ、期待してはいない。もしも、日本政府が韓国の「慰安婦」に補償するなら、台湾の女性たちも補償されなければならない。彼女たちは、他の「慰安婦」たちと同じ処遇を受けることを願っている。これらの女性のうち何人かは必ずしも物質的補償を受けなければならないとは思っていないが、彼女たちの健康状態が苦しくなれば、特別な支援を受けなければならなくなるだろう。彼女たちが物質的な補償を望む理由は、まず健康上の理由、遺族のため、または現在の窮乏生活のためである。彼女たちの老後のために補償は必ず必要だ。このうち2名は特にたいへん怒っており、台湾政府が日本政府から補償を受け取るために支援することを望んでいる」というもので、記事とは全く逆の内容です。
従って会場が騒然となった事実もありません。
この点についても、訂正または取消を求めます。


なお、この要求書および貴紙の回答・対応につきましてはインターネット等を通して公開いたしますので、ご了承ください。

2014年8月6日
第12回アジア連帯会議実行委員会
日本軍「慰安婦」問題解決全国行動

〒169-0051東京都新宿区西早稲田2-3-18 AVACOビル2F
アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)気付
日本軍「慰安婦」問題解決全国行動
tel 070-1317-5677
fax: 03-3202-4634
e-mail:ianfu-kaiketsu@freeml.com


証拠隠蔽体質の日本政府
朝日新聞の「慰安婦」問題の特集に目を通す気力が持てず、他のページを見ていたら、袴田事件の「証拠一転開示へ」という記事(2014.8.6 東京版 35面)。

検察側が偽造したと思われる「証拠」(みそタンクの下にあったという5点の衣類の写真ネガ)を出せと弁護団が要求していたもので、検察側は「存在しない」と言っていたのが、「あった」という。検察側は「事実に反する答えをした」として謝罪したと書かれている。

8月6日、10時からのNHKスペシャル。アメリカ様のビキニ水爆実験で被ばくした多くの船員たち。浅はかながら船舶の被害は第五福竜丸だけではなかったことを初めて知った。日本に戻ってきた船員たちは、当時の厚生省がすぐガイガーカウンターで身体の放射能を測定していったそうだが、その記録について厚生省は「ない」と言い続けていた。しかし、NHK取材班が米国国立公文書館で発見。ちゃんとアメリカ様には伝えていたのだ、どのくらい船員さんたちが被ばくしていたかを。

この国の政府も政治家も、証拠を隠蔽しても何の咎も受けない。謝って済む問題じゃない。袴田さんの人生はもう取り戻せない。死んでいった船員たちは、被ばく者としての医療支援も受けられなかった。

事実を隠した検察官を、厚生省の官僚を、40年経ってからでも50年経ってからでも、探し出してきっちり「誰だったか」をはっきりさせ、生きていれば裁くことがなければ、隠蔽体質は変わらない。何度、このような冤罪や隠蔽による被害を繰り返せば気が済むのか。

このことは、「慰安婦」問題が直面している課題と共通している。証拠の隠蔽。責任者の不処罰。7月に出された自由権規約委員会の1項は「戦時中、「慰安婦」に対して日本軍が犯した性奴隷あるいはその他の人権侵害に対するすべての訴えは、効果的かつ独立、公正に捜査され、加害者は訴追され、そして有罪判決がでれば処罰すること」を求めた。

原発も同じ。「再発防止」にとって、責任者を処罰する手続きは不可欠なのだ。「証拠秘匿」「証拠隠滅」との闘いが待っているにしても。




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